歴史プロジェクト ヨーロッパ コアリーダー 陣内秀信
ヨーロッパにおける水辺空間の形成と変容、及びその再生に関する研究(5カ年)
<目的・内容>
ヨーロッパにおいても、舟運が活発だった前近代に、各地域に、川や運河に沿って、あるいは海に面して数多くの港町が形成された。自然の条件を読み、特徴ある都市の風景も生まれた。近代に水離れを起こし、水辺をつぶした日本とは異なり、ヨーロッパのこれらの都市では、比較的うまくその水辺を存続させながら近代化を進め、その空間的、環境的資源を今日に生かしているといえる。一方で、運河を埋め立て、あるいは海辺を荒廃させた都市も少なくないが、近年、その歴史的・環境的な資源の再評価が進み、水辺再生の動きが各地で活発になっている。
本研究では、各地の豊かな水辺の空間が形成された歴史的過程を研究するとともに、水辺を維持してきた都市ではその仕組みについて、また喪失から再生への道をたどっている都市では、その実態を調査研究する。
<対象>
1. イタリア、南仏、スペイン、ギリシアなど、地中海に面した港町
・ イタリアの中世海洋都市の形成過程、現在の再生への動き、空間利用
アマルフィ、ジェノヴァ、ガッリーポリ等
・ 南イタリア都市における荒廃した海辺の再生への動き
シラクーザ、バリ、タラント、トラーニ等
2. イタリア内陸部における水網都市の形成・喪失・再生
ミラノ、ボローニャ、パドヴァ、トレヴィーゾ
3. オランダ、ベルギーの水網都市の形成、再生
4. イギリス、フランス等における近代化遺産としての都市内、広域地域を結ぶ運河ネットワーク(サン・マルタン運河等)の形成と現代的な活用
<平成16年度の研究計画>
・ 南イタリアの都市調査
ガッリーポリの都市形成と空間構造に関する(実測も含む)調査
シラクーザ、バリ、タラント、トラーニ等での都市再生の動きに関する調査
・ スペインの港町に関する調査 バルセロナ、アンダルシアの港町
・ ベルギー、オランダの都市に関する調査
ブリュージュ:水の都市の空間構造の全体的な把握
アムステルダム:水から守るための工夫、空間構造
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