外濠プロジェクトは、「350年の歴史遺産・外濠の再生デザインと整備戦略」をテーマとした「千代田学」としての調査・研究でもあり、外濠の再生へ向けたグランドデザインの提案をめざしていく。そこでは、環境・文化インフラをコアとして都心水辺をつなぐ「歴史・エコ回廊」の創案、外濠空間の景観問題への対応案、歴史・生態・文化資源の活用方法などを含めた都市環境インフラとしての外濠の 将来へのあり方を検討していく。
また、東京の都市環境における外濠の重要性を多くの市民が再認識し、今後の再 生の動きにつなげていくために、幅広い層に訴える内容を持った公刊物の作成を 進めていく。
外濠の周辺部の個別プロジェクト、および墨田・江東プロジェクトは、以下のとおりである。
日本橋川プロジェクトは、これまで進めてきた同水辺空間の景観形成における歴史的変遷の調査研究を基礎に、河岸地データベースの構築、歴史的な都市空間の復原への考察などを進めていく。
神田川プロジェクトでは、お茶の水〜飯田橋間を中心とした「儒学ルート」などの新しい構想をもつグループの活動との連携を、また、亀島川プロジェクトでは、地域の建築家グループの活動との連携をそれぞれ進める中で、水辺再生への方向性を考えていく。
臨海部プロジェクトは、都心海岸部の近現代における土地利用の変遷を、産業経済活動の変化との関連であらためて捉え直し、大都市臨海部とりわけ既存工業地帯の再編成を提起する方向での研究を進めていく。
墨田・江東地区プロジェクトは、かつての運河網の中心としての同地区の拠点性という観点から、また、近時の「スカイツリー」建設効果による活性化の動きなども踏まえて、都心全体の再生の方向性を考える上での視点を提供する研究を進めていく。