2019年度報告書を刊行いたしました

2019年度報告書を刊行いたしました


目次/Contents

はじめに
目次
プロジェクト報告  
  テリトーリオプロジェクト               
  『府中玉川プロジェクト』   
      小菅村源流再生活動2019  
     水都府中研究             
      野川のグリーンインフラストラクチャ―研究                神谷 博
  『潟プロジェクト』                                                   福井 恒明
     『斐伊川島根半島プロジェクト』斐伊川,島根半島地域の水辺とまち 高見 公雄
東京都心プロジェクト
『外濠市民塾』「外濠vision 2036」を基軸とした外濠再生への取り組み
-外濠市民塾活動報告 高道 昌志
『千代田学』千代田学事業 
─千代田区の地域史資料アーカイブ化の展開─ 福井 恒明
   方法論プロジェクト(旧都心周縁部)
東京都心周辺部、木造密集市街地のリサイクルについて        北山 恒

関連研究
石積み堰の統合水理解析                    道奥 康治
  フィールドサイエンティスト廣井敏男の環境思想と実践
         ―狭山丘陵の里山保全運動の中心的存在―  清水 淳
   瀬戸内のさまざまなスケールのテリトーリオについて       樋渡 彩
  善福寺池サウンドスケープ・プロジェクト:2019年の活動  鳥越けい子
   都市の自治とテリトーリオの持続可能性     
      ~佐原「江戸優り」フォーラムの示唆     小島 聡

エコ研の今後の活動にむけて
  2018年度報告会記録
「テリトーリオによる地域の包括的デザイン手法の開発」研究計画について
福井 恒明

4 研究業績

5 活動報告
2019年度活動一覧
2019年度メンバー

【開催報告】2019年9月21日「御嶽山で語る畠山重忠~父と娘 玉川が紡ぐ魂の邂逅~」を開催しました

【開催報告】2019年9月21日「御嶽山で語る畠山重忠~父と娘 玉川が紡ぐ魂の邂逅~」を開催しました

(鶴巻育子撮影)

会場は武蔵御嶽神社の神楽殿で、参加者は約50名でした。はじめに、法政大学江戸東京研究センター(以下、ETos)の神谷博より挨拶があり、今回の開催趣旨について、玉姫神楽の公演に至る経緯などの説明がありました。

第一部の「玉姫神楽」は神楽殿にて披露され、参詣の方の参加もありました。
引き続き第二部に移り対談が行われ、御嶽神社前宮司の金井國俊さんと法政大学名誉教授の馬場憲一先生にお話しいただきました。
「玉姫神楽」は昨年の活動で3回公演し、今年は第3回目の公演で通算6回目となりました。この神楽は、山梨県小菅村に鎌倉初期から伝わる伝承をもとに創作したものです。主人公の玉姫は畠山重忠の娘とされていて、「玉川」の語源になったという物語です。御嶽神社には、畠山重忠奉納と伝えられる国宝の赤糸威大鎧があります。玉姫が入水した小菅村池の平の地にも、地元玉川地区の守護神社として御嶽神社があり、多摩川の流れが父娘の縁を紡ぐという趣旨で神楽を奉納いたしました。

第二部の対談では、先ず金井前宮司から赤糸威大鎧に関わる古文書のご披露がありました。神社に残されている重忠に関わる全ての文献について一つづつ解説を頂きました。文献上からは、確実に重忠が奉納したとわかるものはないとのことですが、後世にそう記された文書は多く残っているとのこと。江戸時代に将軍吉宗がこの鎧を江戸城に借りだした頃には重忠奉納ということが広く認知されたようです。

これを受けて馬場先生がさらにその背景なども含めて解説を加えました。馬場先生は「御嶽神社及び御師家古文書学術調査団」の団長でもあり、「重忠奉納鎧」伝承と社殿修復の関係について主にお話されました。資料上は畠山重忠奉納鎧の伝承は1700年代初頭に確認できるとのこと。1727年、将軍吉宗が重忠鎧などの神宝上覧を命じ、その後1734年にも上覧している。これが武蔵御嶽山を「武蔵国号社」として権威を高めるのに役立ったという。それが1743年社殿修復の資金調達にもつながった。畠山重忠奉納鎧の伝承は、結果的に武州御嶽山の権威化が図られ宗教的文化空間を維持することにつながったとのこと。

お二人の話題提供の後、神社の方々などの参加者も交えて意見交換が行われました。 ETos からは鳥越けい子先生も参加されました。また、玉姫伝承の伝承者である横瀬健氏も参加され、玉姫伝承についてのお話も直接聞くことができました。意見交換の中で、金井氏より「秩父鎌倉街道」という言葉も出てきて、玉姫の逃避行ルートがその裏道だったとみられることも分かりました。重忠鎧の伝承と玉姫の口伝、どちらも文献で裏付けを確定することはできませんが、こうした物語がまちづくりを創造してきたのではないか。それが心に火をつける原動力なのではないか、ということが結論でした。

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【お知らせ】「御嶽山で語る畠山重忠 父と娘玉川が紡ぐ魂の邂逅」を開催します 2019年9月21日

【お知らせ】「御嶽山で語る畠山重忠 父と娘玉川が紡ぐ魂の邂逅」を開催します 2019年9月21日

■開催日時:2019年9月21日(土)14:00~
■会場: 武蔵御嶽神社 神楽殿
    < JR御嶽駅からバスで10分(終点下車)
     ケーブルカー滝本駅から6分 御岳山駅から徒歩で30分> 
■問い合わせ先:神谷 博 suikei@jcom.zaq.ne.jp / 090-1429-4796

■プログラム
<第一部>14:00
 「玉姫神楽」奉納/神楽ユニット珊月花
重忠の娘とされる玉姫の伝承に基づく創作神楽

<第二部>14:30 – 16:00
対談:重忠奉納の赤糸威大鎧をめぐって
金井國俊/武蔵御嶽神社前宮司
馬場憲一/法政大学名誉教授
セミナー進行:神谷博/法政大学兼任講師

主催:法政大学江戸東京研究センター
法政大学エコ地域デザイン研究センター
協力:武蔵御嶽神社
後援:多摩川流域懇談会

【講師プロフィール 】
◆ 金井國俊/武蔵御嶽神社前宮司 宿坊御岳山荘を営む 
      著書として歌集「太占(ふとまに)」
◆馬場憲一/法政大学名誉教授 
法政大学エコ地域デザイン研究センター客員研究員
武蔵御嶽神社及び御師家古文書学術調査団 団長
◆神谷 博/法政大学江戸東京研究センター及び
エコ地域デザイン研究センター客員研究員

【演者プロフィール 】
◆珊月花/ハナヲ 、月弧、さんごによる神楽ユニット
ハナヲ:雅楽、現代音楽、作曲、編曲
月 弧:ネイティブアメリカンフルート奏者、作詞、作曲
さんご:舞踏家 Sango Saria 
総合プロデュース/はるく

武蔵御嶽神社と畠山重忠
1.御嶽神社の国宝「赤糸威大鎧」
御嶽神社には国宝となっている赤糸威大鎧(アカイトオドシオオヨロイ)があり、畠山重忠が奉納したとされている。
重忠は鎌倉初期の武将であり、中世の鎧を知るうえで貴重なものとされている。
江戸時代には、8代将軍徳川吉宗がこの鎧に関心を持ち、二度に亘り江戸城に借り出して詳細な調査をしたという。
吉宗の鎧研究の記録は、江戸時代の絵巻物などに描かれる鎧デザインのモデルとなったという。

2.中世武士の山岳信仰
重忠は何故この鎧を武蔵御嶽神社に奉納したのか。
当時は、保元・平治の乱を経ていたるところで戦乱が起き、世の中は混乱し、人々の心は疲弊していた。
社会不安が高まる中で多くの宗教が勃興し、後にこれらが鎌倉仏教として確立していく。
当時、多くの武士が頼ったのが、隆盛になっていた御嶽などの山岳信仰だった。

3.重忠の妙見信仰と鉄
秩父平氏の一族である重忠は、平氏由来の山岳信仰である妙見大菩薩を仰いでいた。
秩父は銅をはじめとする鉱産物に恵まれており、丹党の本拠地となっていた。
丹党は製鉄集団としての性格を持ち、武器調達に重要な役割を担っていた。
重忠は丹党に近しい在地領主として農や牧を基盤とするだけでなく、広域にわたる鉱業開発領主でもあったとみられる。

4.山の神と田の神
武蔵御嶽神社は日本武尊の東征にまつわる由来がある狼を眷属として祀っている。
山岳信仰において狼が果たす役割は大きく、大神として山の護り主とされる。
一方、水田の護り神は水神であり、蛇や龍がその象徴とされる。
山と田は一体であり、玉姫伝承においても、玉姫は入水して大蛇に変化し、恋人の大青(オオセイ)は狼に変化する。

5.玉姫伝承と常世の玉姫
玉姫伝承は、山梨県小菅村余沢の横瀬家(秩父、丹党の家系)に鎌倉初期から代々口伝で伝えられてきた。
伝承によれば、玉姫の父親は源頼朝に仕えた畠山重忠とされている。
重忠は怪力無双、且つ人格、容姿に優れ、音曲の才にも恵まれ、武蔵武士の鑑と評される人物である。
頼朝に信頼され、子の家頼の後事を託されたが、権力闘争の中、北条氏の陰謀により討たれた。
玉姫にも討手が迫り、小菅村まで逃避するも、翌年の春、討手に追いつかれて常世に旅発った。
その地は、玉川源流の池の平であり、玉川の名の由来は玉姫とされている。
玉川の御嶽神社と重忠の縁をもとに、玉姫の想いに寄り添ってみたい。

神谷 博

【開催報告】2019年8月17日「玉川の語源を探る夕べ」を開催しました

【開催報告】2019年8月17日「玉川の語源を探る夕べ」を開催しました

2019年8月17日(土)18:30~20:00、「玉川の語源を探る夕べ」が開催されました。
会場は二子玉川ライズ5階屋上の原っぱ広場で、参加者は約50名でした。はじめに、法政大学江戸東京研究センター(ETos)の神谷博より開催趣旨の挨拶があり、続いて第一部の「玉姫神楽」の披露がありました。引き続き第二部に移り対談が行われました。対談では、府中市郷土の森博物館館長の小野一之氏と法政大学文学部の小林ふみ子教授にご登壇頂きました。登壇とはいっても会場は芝生広場で観客席も筵敷きという屋外イベントでした。

「玉姫神楽」は昨年の活動で三回公演したのに引き続き、今年は第二回目の公演となりました。この神楽は、山梨県小菅村に鎌倉初期から伝わる伝承をもとに創作したもので、主人公の玉姫は「玉川」の語源になったとされています。神楽も現代に伝わる江戸時代の神楽ではなく、鎌倉初期の形式を再現することを試みています。丁度まわりが暗くなった時に始まり、照明も最小限として背景に幻想的な光を流す演出を施しました。

第二部の対談では、先ず小野館長から「多摩川、古代の風景を考える」と題して、「多摩川」と「玉川」どちらが古い? 多摩川と多磨、どちらが先? タマ川とタバ川はどんな関係? なぜタマ川の名前になったのか? など、興味深いお話を頂きました。歌枕の「六玉川」にも触れて、玉川は全国にも多く、自然発生しやすい名前でもあると指摘されました。最後に、多摩川の表記は多くあるが、一番古いのは玉川、とのことでした。
次にお話しいただいた小林ふみ子先生は、「玉川をめぐる江戸の文芸文化」と題し、「流域を歩いた文人、大田南畝から」というサブタイトルを付けて、南畝を軸に話を進められました。江戸時代の玉川は自然を楽しむ遊楽の地になっていた、文人的田園趣味の「郊行」があったとし、南畝の「玉川余波」より多くの引用を用いて解説されました。その中で、「水を治ることば」を紹介して玉川の姿を活き活きと示されました。古歌に詠まれる歌枕の地が、江戸期には心の俗塵を払う場所となり、治水の必要性という現実とともに生きていたことを語られました。

お二人の話題提供の後、対談というより掛け合いの意見交換があり、それぞれのお話を深めて頂きました。進行役の神谷からの質問も交え、予定時間をやや超えて終了いたしました。

閉会にあたり、後援を頂いた多摩川流域懇談会から国土交通省京浜河川事務著調査課長の斎藤氏よりご挨拶を頂きました。最後に、会場を貸していただいた二子玉川ライズとして東急電鉄の都甲課長よりご挨拶を頂きました。(神谷 博)

【お知らせ】「玉川の語源を探る夕べ」を開催します 2019年8月17日 (土)

【お知らせ】「玉川の語源を探る夕べ」を開催します 2019年8月17日 (土)

  • 2019年07月29日
「玉川の語源を探る夕べ」チラシ(表).jpg

玉姫伝承
その昔、甲州と武州の境を戦に敗れて鎌倉を目指して落ち延びる玉姫一行があった。難儀する一行は小菅で村人にかくまわれた。旅を続ける間に、玉姫は一心に尽くす家来の若者の大青と想いあうようになった。ある日、追手に追いつかれ家来たちは斬られ、玉姫と大青は池に身を投げた。すると玉姫は大蛇となり大青は狼となって追手を嚙み殺した。二人はその地で仲良く暮らしていたが、ある年の大雨で池は壊れ、大蛇は流されてしまった。狼となった大青は後々の時代まで玉姫を想って哭き続けたという。この大蛇の流れた川は玉のように流れる清流で将軍様に献上した名水だった。そしてこの川は玉姫の名を取って玉川と呼ばれるようになった。(要旨)

この物語は、山梨県小菅村余沢の横瀬家に鎌倉初期から口伝で伝えられてきた。
玉姫の父親は畠山重忠とされている。
玉川の語源説に新たな視点を与える伝承である。

■開催日時:2019年8月17日(土)18:30~
■会場: 二子玉川ライズ・ルーフガーデン5階 原っぱ広場
 < 東京都世田谷区玉川1₋14₋1 東急田園都市線・大井町線「二子玉川駅」下車
   蔦屋横のA1エレベーターよりアクセス>
■入場無料
■荒天時中止
■問い合わせ先:神谷 博 suikei@jcom.zaq.ne.jp

■プログラム
<第一部>18:30
 玉川源流に伝わる玉姫伝承
 神谷 博/法政大学兼任講師

<第二部>18:50
 創作神楽「玉姫」/珊月花

<第三部>19:10~20:00
 対談:玉川の語源と玉川文化
 小野一之/府中市郷土の森博物館館長
 小林ふみ子/法政大学文学部教授

【講師プロフィール 】
◆小野一之(オノカズユキ) 
 府中市郷土の森博物館館長
 中央大学大学院文学研究科 前期博士課程 修了
 専門は日本古代史。著書に武蔵府中くらやみ祭 』他。

◆小林ふみ子(コバヤシフミコ)
 法政大学 文学部 教授、法政大学江戸東京研究センター研究員
 東京大学文学部国文学科卒、人文社会系研究科博士課程 修了。大田南畝
 『七観』をめぐって-詩文と戯作」などで 日本古典文学会賞受賞。文学博士

◆神谷博(カミヤヒロシ)
 法政大学兼任講師(環境生態学) 建築家 景観アドバイザー
 法政大学建設工学科修士課程修了
 法政大学エコ地域デザイン研究センター・江戸東京研究センター客員研究員。
 多摩川流域懇談会運営委員長

【演者プロフィール 】
◆珊月花/ハナヲ 、月弧、さんごによる神楽ユニット
◆ハナヲ/東京藝術大学卒 雅楽、現代音楽、作曲、編曲
◆月弧/ネイティブアメリカンフルート奏者、作詞、作曲
◆さんご/舞踏家 Sango Saria ベリーダンス 占い

映像協力:織田理史
総合プロデュース:はるく

主催:法政大学 エコ地域デザイン研究センター・江戸東京研究センター
協力:二子玉川ライズ
後援:多摩川流域懇談会

玉川の語源考(神谷 博)
1.多摩川の表記
万葉集の東歌に「多麻河」が見られ、同時代に 下流部の丸子の渡しあたりは「石瀬河」とも記されており、上流には「丹波川」がある。多摩の語源は明らかでなく、「多摩の語源考」(鈴木樹造著)によれば、川の名が先にあって郡の名がついたとしており、多摩・タバ説や多摩・タマ説など多く紹介している。このうち、多摩・玉説では、霊、美しいもの、すぐれているもの、などの見方を紹介している。諸説あるものの、これが定説というものはない。

2.調布玉川惣画図
江戸時代に玉川源流の記載が出てくるのは、関戸の名主であった相沢伴主による「調布玉川惣画図」である。天保10 年( 1839 年)相沢伴主が玉川の源流を訪ねようと思い立ち、源流から河口までの下絵をつくり、これを絵師の長谷川雪堤が絵図に仕上げた。ここに小菅村の玉川が源流として記載されている。江戸末期であり、玉川という名は既に定着して多くの文化、文芸に登場している。「調布玉川惣画図」の原型は、伴主の父である相沢五流が描いた「玉川勝蹟図」にあるといわれている。大田南畝(蜀山人)が文化6 年( 1809 年)に玉川の堤防検分で関戸に来た際に五流に依頼したという。伴主は、五流の影響もあって玉川の源流を探る興味を持ったものと思われる。伴主に少し先立つ1825 年には、仲田惟善による「東都近郊図」が出版されている。江戸近郊が行楽の対象として人気となり、その案内地図として描かれている。ここには玉川について、「水源は甲州一ノ瀬といえる。幽谷より出でて、武州秩父郡の山水が落合い、多麻郡羽村あたりまでを多波川という。それより下を玉川という」とある。ここには玉川上水も描かれていて 多波 川は羽村までという認識ともとれる 。 伴主はこれとは別に玉川と名の付く源流にたどり着いて おり、 羽村から先の多波川ではない川筋を遡り、玉川の源流を探索して小菅の玉川を突き止めたのであろう。

3.いつから玉川か?
鎌倉時代に東国政権が出来上がったが、ほどなく南北朝時代の混乱を経て、足利政権が出来上がった際には京都中心の時代に戻り、室町文化が栄えることとなる。これが家康によって東国政権の実現が果たされると、江戸が中心地となり、多摩川水系が重要な役割を持つようになる。多波川や六郷川、玉川など、地域ごとに違う名で呼ばれていた川を武蔵国府の前を流れる玉川として家康の時代に一つの名前として統一して表記する必要が生じたのかもしれない。民間ではどの範囲を、いつごろから玉川と呼んでいたのか。玉姫伝説に残る玉川は、池の平からの流れであることから、現存する小菅村の玉川であることは確かである。玉川上水が引かれたのは 1653 年のことであるから、このころには 既に 玉川であったこと になる。 玉川から分水したのであるから、 取水した羽村の 上下流も玉川だったといえる。

4.六玉川の一つとして有名に
玉川が盛んに取り上げられるようになったのは、江戸文化が爛熟し始めて、江戸の文化を高めていこうという機運の中で清流としての玉川を売り出す意図もあったのではないか。六玉川は、全国の代表的な清流として和歌の歌枕や浮世絵の題材となった。「山城井出の玉川」「近江野路の玉川」「摂津三島の玉川」「陸奥野田の玉川」「紀伊高野の玉川」と並び称して「武蔵調布の玉川」となっている 。 万葉集に歌われたのは「多麻川にさらす手作りさらさらに何ぞこの児のここだ愛しき」とあり、多麻川と表記されている。 江戸時代に あえて玉川と表記することを望んだとしたら、玉川であることに何らかの積極的な価値が必要だったからと思われる。

5.玉姫の玉川
江戸時代の玉川下流部は六郷川であり、六郷用水は家康の初期の江戸づくりにおいて重要課題だった。江戸初期にはまだ下流部が六郷川、中流部が多麻川、上流部が丹波川だったと思われる。江戸後期の相沢伴主の時代には、それが小菅村から河口までを玉川と記載するようになっている。玉川は、多摩川の美称として玉石が多くて清流であることから後世に呼び替えられた、という説もあるが、近年に玉姫伝説という民話が発掘されたことから、玉川の語源は小菅の玉川であり、その名は玉姫からとられたという 説も成り立つと思われる 。

【開催報告】2019年4月3日「エクハルト・ハーン先生を囲んで/ベルリン近郊のエコシティと東京のグリーンインフラ」を開催しました

【開催報告】2019年4月3日「エクハルト・ハーン先生を囲んで/ベルリン近郊のエコシティと東京のグリーンインフラ」を開催しました

2019年4月3日(水)18:00より、水都交流セミナー「ベルリン近郊のエコシティと東京のグリーンインフラ」が開催されました。エクハルト・ハーン先生は、ドイツドルトムント大学教授として長年ドイツやEUのエコロジカルな都市計画を主導してこられました。法政大学エコ地域デザイン研究センターの客員研究員としても長く交流を続けており、今回は、ベルリン近郊で計画されている大規模なエコシティについて話題提供をしていただきました。当日は、定員40名のところ満席となり、意見交換も活発に行われました。

 講演内容は、ベルリンから40㎞ほどの距離にあるヴュンスドルフという町において最先端のエコシティとして計画しているものです。元軍用地の跡地再開発で、文化遺産となる既存建物を残しつつ、全域に資源・水循環システムを創り出すもので、最先端の土壌技術を用いた生産システムなどが紹介されました。移民対策やSDGsを踏まえた計画となっており、日本との差を大きく感じさせる内容でした。

 講演を受けて、東京農業大学准教授の福岡孝則氏より、日本におけるグリーンインフラの展開の現状が報告され、これを踏まえて意見交換が行われました。

 意見交換の司会進行は、法政大学エコ地域デザイン研究センターのセンター長を務める福井恒明教授が担い、客員研究員の神谷博兼任講師も加わり進められました。国策で進められている事業の採算性についての質問や循環再生技術の中心となっている土壌技術などについて意見が交わされました。2時間という短時間のプログラムでしたが、有意義で濃密なセミナーとなりました。

【お知らせ】エクハルト・ハーン先生を囲んで「ベルリン近郊のエコシティと東京のグリーンインフラ」を開催します(2019年4月3日(水))

【お知らせ】エクハルト・ハーン先生を囲んで「ベルリン近郊のエコシティと東京のグリーンインフラ」を開催します(2019年4月3日(水))

エクハルト・ハーン先生は、法政大学エコ地域デザイン研究センターの客員研究員として長年研究交流を深められてきました。ハーン先生との水都交流セミナーは、2005年以来4回実施してきましたが、前回は2015年に「グリーンインフラの展開と都市づくり」というタイトルで行いました。

 その後の日本におけるグリーンインフラも進展しましたが、今回はハーン先生から、“International Campus-Eco-City Wünsdorf”というタイトルの報告があります。ベルリン近郊のヴュンスドルフの軍事施設跡地におけるSDGsを踏まえたエコ再生に取り組んでいる事例です。

 法政大学では近年、江戸東京の解析に取り組んでおり、昨年「江戸のグリーンインフラ」というタイトルで田中優子総長も講演を行っています(エコ地域デザイン研究センター主催にて 2018年7月11日開催済み)。今回は、ベルリン近郊のエコシティというキーワードと絡ませて、ドイツと日本、ベルリンと東京におけるエコロジカルな都市づくりの国際的動向を探りたいと思います。

■開催日時 2019年4月3日(水)18:00~20:00
■会場 法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー  25階  B会議室 
    法政大学市ヶ谷キャンパス・交通案内はこちら  
    JR総武線・地下鉄各線  市ヶ谷駅又は飯田橋駅 より徒歩10分                  
■主催 法政大学江戸東京研究センター,法政大学エコ地域デザイン研究センター
■参加費 無料
■事前申込制 申込はこちらから https://www.event-u.jp/fm/10918 

QRコードからも申込みいただけます

※先着順:定員に達した場合に予定より早く申込みを締め切ることがあります。どうぞお早めにお申込みください。
【チラシ】(PDF)こちらをクリックするとダウンロードいただけます。
……………………………………………………………………………………….
【プログラム】
18:00 挨拶 福井恒明(法政大学教授)
18:10 講演“International Campus-Eco-City Wünsdorf”
    エクハルト・ハーン(ドルトムント大学名誉教授)*英語逐次通訳
19:00 日本のグリーンインフラ概要
    福岡孝則(東京農業大学准教授)      
19:15 意見交換:
    福岡孝則、福井恒明、神谷博(法政大学兼任講師)ほか
20:00 閉会

<プロフィール>
エクハルト・ハーン/Ekhart Hahn  
ドルトムント大学名誉教授、都市計画家。
1942年ドイツ生まれ。1969年ベルリン工科大学博士課程卒業、1983年~ベルリン再開発・環境調和型都市研究所所長、1990年~ECOCITY研究所所長。1998年~ドルトムント大学都市生態学教授、2003年~デンマーク アルボルク大学客員教授。EU環境部会アドバイザーなど国際的環境プロジェクトの要職を歴任、グローバルエコビレッジネットワーク(GEN)の活動ほか、都市生態学の研究者として環境調和型の都市再生などのプロジェクトに多く携わってきた。
<プロフィール>
福岡孝則
東京農業大学准教授 ランドスケープアーキテクト
ペンシルバニア大学芸術系大学院ランドスケープ専攻修了。
米国・ドイツのコンサルタント会社に所属して北米、中東、アジア、オーストラリアなどのランドスケープ及び都市デザインに携わった。ドイツではアトリエ・ドライザイテル事務所にて水のデザインに関わり、エクハルト・ハーン氏とも知己である。
……………………………………………………………………………
【お問合せ先】
 江戸東京研究センター・法政大学エコ地域デザイン研究センター事務室
 E-mail:ecohistory-jimu@ml.hosei.ac.jp
 TEL:03-5228-1267(担当:宮崎)      

【関連イベントのお知らせ】第2回 多摩川流域歴史シンポジウム『多摩川流域の中世』

【関連イベントのお知らせ】第2回 多摩川流域歴史シンポジウム『多摩川流域の中世』

第2回 多摩川流域歴史シンポジウム 『多摩川流域の中世』

多摩川と人間との関わりの歴史を掘り起こし、多摩川らしさとしての地域文化を再発見することを目的として、これまで4回にわたり「中世」をテーマに多摩川流域歴史セミナーを開催してきました。中世の締めくくりとして、第2回多摩川流域歴史シンポジウムを開催いたします。

【日時】平成31年2月9日(土)13:00~16:30(12:30より受付)
【会場】狛江市中央公民館 地下ホール
【主催】多摩川流域懇談会
【協力】狛江市
【登壇者】基調講演:谷口栄氏(葛飾区産業観光部観光課主査学芸員)「中世の東京低地と多摩川下流域―鎌倉御家人葛西清重の丸子庄拝領-」

意見交換会;谷口栄氏
      小野一之氏(府中市郷土の森博物館館長)
      橋場万里子氏(多摩市文化振興財団学芸員)
      岩橋清美氏(古典籍共同研究事業センター特任准教授)
      望月一樹氏(神奈川県立歴史博物館学芸部長)
      進行役:神谷 博(多摩川流域懇談会運営委員会)
      コメンテーター:小田静夫氏(東京大学総合研究博物館研究事業協力者)

<これまでの多摩川流域歴史セミナー>

〔古代シリーズ〕
第一回 大田区立郷土博物館 小田静夫氏「考古学的視点から見た多摩川の歴史」
第二回 府中市郷土の森博物館 江口桂氏「武蔵国府の成立と多摩川中流域の古代集落」
第三回 国営昭和記念公園 和田哲氏「多摩川上中流域の先史・古代」
第一回シンポジウム 府中市郷土の森博物館 第一回~第三回のまとめ

〔中世シリーズ〕
第四回 府中市郷土の森博物館 深沢靖幸氏「中世多摩川流域の開発」
第五回 パルテノン多摩 橋場万里子氏「関戸合戦と関戸の地域性」
第六回 子安市民センター 岩橋清美氏「調布玉川惣画図にみる多摩川の名所」
第七回 さんぴあ川崎 望月一樹氏「多摩川下流域の中近世史」

【参加費】無料
【定員】100名 事前申込必要
【申込問合先】mizutomidoriken@ybb.ne.jp  TEL 042-327-3169
多摩川流域懇談会事務局(みずとみどり研究会・佐山)

チラシは以下のリンクよりダウンロードをお願いいたします。

世田谷区グリーンインフラ シンポジウム開催のお知らせ

世田谷区グリーンインフラ シンポジウム開催のお知らせ

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世田谷区グリーンインフラ シンポジウム開催のお知らせ

~グリーンインフラってなぁに?~ せたがやのグリーンインフラを考えよう

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下記の通り、世田谷区主催、世田谷グリーンインフラ 研究会共催で世田谷グリーンインフラ シンポジウムを開催致します。
世田谷区みどり33 推進担当及び土木部による施策紹介、涌井史郎氏(東京都市大学特別教授)による基調講演、官学民連携によるグリーンインフラ研究の発表やパネルディスカッション、展示を行います。
参加申し込み不要となっております。皆様のご参加をお待ちしております。

・主催:世田谷区

・共催:世田谷グリーンインフラ研究会(5大学連携の研究会)

・日時:平成30年12月15日(土) 13:00~18:00(12:30より受付開始)

・会場:成城ホール(世田谷区成城6-2-1) 

・WEB: http://www.city.setagaya.lg.jp/event/1996/d00162684.html

・チラシ: http://www.city.setagaya.lg.jp/event/1996/d00162684_d/fil/1.pdf

■プログラム ※敬称略

・開会挨拶 世田谷区長 保坂展人

・基調講演 「世田谷で実現するグリーンインフラの未来」

 涌井 史郎

 (世田谷ポートランド都市文化交流協会会長、東京都市大学特別教授)

・世田谷区の施策紹介(みどり33推進担当部、土木部)

・世田谷グリーンインフラ研究会の研究発表

 話題提供:「雨水とみどりのまちづくりを考える」

 全体紹介 法政大学兼任講師 神谷 博  

 東京都市大学准教授 横田樹広 
「市民科学による雨水の流出と生き物の評価ツール」

 慶応義塾大学教授 厳 網林 
「食料・エネルギー・水のつながりとグリーンインフラ」

 法政大学教授 宮下清栄 
「グリーンインフラの見える化と蓄雨の算定」

 成城大学教授 櫻井一彦
「自然・生きものと親しむくらし」

 東京農業大学教授 入江彰昭
「世田谷のみどりとグリーンインフラ」

・パネルディスカッション「区民とともに進める世田谷のグリーンインフラ」

コーディネーター  
神谷 博  法政大学兼任講師

パネリスト 
小堀 洋美 東京都市大学特別教授 
宮沢栄次  成城大学名誉教授 
福岡 孝則 東京農業大学准教授
中川 清史 崖線みどりの絆・せたがや事務局長
笠原 聡  世田谷区みどり33推進担当部長
五十嵐慎一 世田谷区土木部長 

コメンテーター 
富永裕之  横浜市環境創造局下水道事業マネジメント課長

・参加費: 無料 

・定員: 390名(当日先着)

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どうぞよろしくお願いいたします。

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グリーンインフラ研究会 事務局
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
担当:竹谷、西田、秋山
TEL:06-7637-1480 E-mail:gi-seminar@murc.jp
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