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4プロジェクト共同研究会

日時:2005年12月14日(水)16:00〜18:00
場所:市ヶ谷校舎80年館7階 中会議室(1)

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「日野の水辺を考える−日野の自然誌:100年を俯瞰して」
 講師:東京農工大学名誉教授 小倉紀雄

市民の水質調査活動などを長年支え続けておられる地球環境学がご専門の小倉紀雄先生をお招きして、長期にわたる環境モニタリングの重要性などを日野などを事例に報告頂いた。
日野市の浅川や向島用水では、市民や行政による水質調査など環境モニタリングが続けられている。浅川は1975年から始まりすでに30年以上続いている。あと70年続ければ100年になる。環境モニタリングの歴史を見てみる。古くは1400年代に諏訪湖でお神渡り(結氷)の観測が行われていた。これで気候との関連が調べられる。水質調査では1874年玉川上水で始まる。1876年に東京中央気象台で気温・降水量の測定が始まる。1833年には駒場農学校で雨の分析が行われる。雨に含まれる肥料成分を差し引いて肥料を施す為である。陸水学会では1899年山中湖で水深の測定を行ったのが始まりである。1901年琵琶湖で定期的な水質調査が始まった。東京湾では1922年海洋調査が始まった。24年東大の演習林で降水量と流出水量の観測が始まった。1970年に入ると高度経済成長で大気汚染が問題となり水質汚濁防止法で公共用推移の定期的な水質測定が始まった。
日野において潤徳水辺をロングタームのモニタリングサイトとすることは、潤徳小学校の100年史、110年史、130年史を調べることで日野の水環境がわかるのである。
日野の市民活動を見てみる。85年には日野市消費者連絡会が豊田用水の水質調査を簡易方法で行う。浅川勉強会が浅川の水質調査を開始。市民活動を束ねる水と緑のネットワークによる多摩川水系の身近な川の一斉調査が開始。2004年から身近な水環境の全国一斉調査に発展し、今年2回目で全国47都道府県から5018箇所のデーターが集まった。05年潤徳水辺の楽校活動開始した。また市民の用水路カルテづくりも始まる。
地球温暖化や酸性雨など地球環境問題の解決には100年単位の対策を続ける必要がある。水質や生態系への影響を100年単位で考え、普段からのモニタリングが重要である。現状・過去からの変遷、トレンドを明らかにすることで、予測可能となり、適切な対策を講ずることができる。LTER(Long Term Ecological Recerch長期生態系研究)はアメリカ合衆国で1960年から開始され、現在では24の生態系サイトでモニタリングが実施されている。LTERは国際的にも重要視されており、アジアでは中国、韓国を含む27カ国がILTERのネットワークが構築されている。しかし、日本では窓口となる国の機関がなく現在は参加していない。日本生態系学会や林学会でもLTERについて検討し始めている。陸水学会では古いデーターがあるので、地球環境問題に対応できるようにデーターベース作りをおこなっている。全国でも市民、行政、専門家が連携して長期的モニタリング体制を整備して、地球環境問題に対応できるように、地球規模の生態系や水質の変化を長期的調査することが大切である。日野でもモニタリングサイトをつくりたいと考えている。

 

   

 

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