「多摩川流域を中心としたNPOによる環境保全活動」
発表者:NPO法人 全国水環境交流会 代表理事
NPO法人 多摩川センター 副代表理事
山道省三
戦後における高度経済成長の波に乗り、日本全国の河川事業も進められ、改修工事による三面張り、ダム開発などが行われていった。そして、工場や家庭からの排水により河川は汚濁の一途を辿っていた。これらの状況に対して河川流域への自然環境保護を目的とした市民運動が、全国河川において1970年代前半から始まっていった。それから、40年という月日が経過し、市民運動はNPOと変化し、その形態から行政との関係も変遷している。東京近郊に位置する多摩川では、国が実験的に行うモデル事業がさまざまな意味で行われている。今回は、その多摩川におけるNPOの事例を中心に、国内外における河川の事例から、今後の計画への考え方と方向性を示した。
水・川行政とNGO・NPOの関係は、行政による開発と市民による保護の対立から、行政窓口の開始、外郭団体の設立、法制度の整備から、互いに協力しあうパートナーシップ型の河川管理というものに移行している。この段階における課題は、コミュニケーションが圧倒的に欠如、そして、情報ビジョンの共有がなされていないという現状がある。多摩川を将来どうしていきたいのか、市民住民、行政を含め、表現そのものも本当に多摩川らしさをしめす、ビジョンになっていないことに問題を抱えている。
そして、NPOの側では、法人化が進められている。全国水環境交流会では、“いい川"観の共有を行っており、人と人をつなげる活動を大きな目的としている。市民が河川計画の中へ直接入っていく中で、市民環境科学の重要性が言われている。これは、ボランティアなどではなく、地域住民がプロという意識で、安全や環境への将来の土地利用も含めて科学的な根拠が必要だろうと言われている。具体的には、「川ゴミマップ(最上川)」「西暦2000年の多摩川を記録する運動」「株式会社 御禊川」「自然共生型流域圏」などの活動が実施されている。
また、行政の考え方の変化から、NPO側も河川環境だけではなく、地域の防災拠点づくり、地域管理への展開をどう受け入れていくかが課題となっている。
多摩川における川、水のネットワークづくりは、多摩川独自というわけではなく、全国でやっていることを多摩川に取り入れたり、多摩川でやっていることを全国に発信したりその相互の関係を築き上げている。
今後のNPOの課題としては、従来からの環境保護に加え防災の考え方をどのように取り入れるのか、そして人件費やプロジェクトなどへの経済面での予算の克服、総合学習や高等教育における人材面におけるサポートや、学校制度への組み込みなどが考えられている。
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[全国水がき交流ワークショップ 高津川/島根
2003年]
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[第4回 川に学ぶ体験活動全国大会in日野川流域 日野川/福井
2004年]
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[第7回「川の日」ワークショップ 東京
2004年7月]
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[「多摩川整備計画」のための市民によるフィールド調査 東京 1999年 ]
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[多摩川洪水撹乱調査
2001年]
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