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「Gallipoli−海に浮かぶバロックの迷宮−」

法政大学大学院エコ地域デザイン研究所
陣内研究室
2007年7月20日発行 A4横 160P

「プーリア州は歴史遺産も多く、美しい景色が有名である。一方で、経済発展からは取り残され、一時期は歴史的旧市街が荒廃し、街は汚く、治安が心配というイメージも同時に持たれていた。それが近年になって、南イタリアに活気が出てきている。しかも一時的な集客や大規模な開発による観光事業ではなく、土地の歴史や文化に根ざした再評価の動きがそれを支えているという。
 調査地に選んだガッリーポリ(Gallipoli) もそのような都市の一つで、建築や都市空間だけでなく、活性化してきている旧市街の姿は我々の興味を引いた。以来、毎夏現地へ出かけ、実測調査や自治体、住民へのヒアリングを行い、今年でガッリーポリの都市空間に関する研究は4 年目を迎えた。その間にも街はますます活気を増し、訪れるたびに新たな再生への動きを目の
当たりにしてきた。(中略)
 これからの時代、目指すべき都市・地域づくりとは、それぞれの土地の歴史と環境(エコロジー)にもとづく都市再生である。そのうえで、この南イタリアでの変化は、競争、加速、拡大へと突き進んできた近代化の見直しが迫られているなかで、自分の足下(自文化)を見つめて生きることを教えてくれる。これは、発展という名の近代化から「取り残された」南イタリアが発する、「最先端」の都市・地域づくりに関するメッセージといえよう。」(「はじめに」より)

[CONTENTS]
はじめに


第1 章 歴史的背景
 第1 節 都市の起源〜ギリシア都市〜
 第2 節 ビザンツ帝国とイスラムの影響
 第3 節 ノルマン人の到来
 第4 節 バロックの開花〜スペイン支配下での繁栄〜
 第5 節 ブルボン朝支配、そして現代へ

第2 章 都市構造
 第1 節 都市と防御
 第2 節 宗教施設と都市
  1. コンフラテルニタとは
  2. 立地と教区
  3. コンフラテルニタの空間特性
  4. プロセッション
 第3 節 都市と産業
  1. フラントーイオと倉庫
  2. トンナーラ(Tonnara)
  3. 漁港と商港〜二つの港湾〜
 第4 節 街路と地区
  1. 街路の構成
  2. 島に存在する二つの地区

第3 章 住宅の空間構成
 第1 節 中庭をもつパラッツォ
  1. パラッツォの立地
  2. パラッツォがつくる広場
  3. パラッツォの空間構成 
 第2 節 ポルトーネを共用する住宅
  1. ポルトーネ共用住宅の立地
  2. ポルトーネ共用住宅の空間構成
 第3 節 ミニャーノのある前庭型住宅
  1. 前庭型住宅の立地
  2. 前庭型住宅の空間構成 
 第4 節 袋小路を囲んだ庶民住宅
  1. 袋小路を囲む住宅の立地
  2. 袋小路を囲む住宅の空間構成
 第5 節 街路に面した庶民住宅
  1. 街路に面した住宅の立地
  2. 街路に面した住宅の空間構成

第4 章 住宅と街路にみる都市構成
 第1 節 建物・住居における『表と裏』
 第2 節 街路・住宅における公私の変化

第5 章 都市の現状

おわりに
 調査参加メンバー
 実測調査対象地 
 参考文献

 

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