西城戸誠・黒田暁 編著
四六判/318ページ/定価:3,200円+税/法政大学出版局
ISBN:978-4-588-78003-5 C0336
2010年6月刊行
多様性に富んだ地形に水田と用水路が広がり、樹林・湧水が点在するまち・日野は、都市化によって急速にその姿を変貌させてきた。本書は、かろうじて残された用水路を軸に、景観の保全をめぐる行政と市民の三十年余にわたる試みをあとづける。単なるノスタルジーとしてではなく、過去の営みを反省的に振り返り、現状をふまえて日野の未来を探る活動は、同様の課題を持つ多くの都市に示唆を与える。
目 次
はじめに
Ⅰ 用水のあるまち
1 まちの歴史、地域史 - 『日野市史』を中心に ・・・・・ 2
2 用水路と地形の関係 ・・・・・ 20
3 日野における用水路の分布 ・・・・・ 33
4 都市化とは何だったのか ・・・・・ 47
Ⅱ 水の郷へ向けたまちの構想と計画
1 日野市が目指す「水の郷」のビジョン - 基本構想・基本計画の変遷 ・・・・・ 69
2 水辺行政・用水路の維持保全に関する計画 ・・・・・ 89
Ⅲ 水の郷のまちづくりにおける市民活動と市民参加
1 水の郷のまちづくりと市民活動 ・・・・・ 120
2 計画づくりへの市民参加 ・・・・・ 142
Ⅳ まちと農業と用水
1 日野市の農業の歴史と現状 ・・・・・ 160
2 農業と用水路 - 「水稲作」とのかかわり ・・・・・ 172
3 用水路の現在とそのしくみ
4 「農業用水」から「環境用水」へ
Ⅴ 「環境」としての用水路 -市民意識調査から用水の価値を探る
1 用水路のもつ多面的な環境価値 ・・・・・ 218
2 用水路に対する住民意識調査 ・・・・・ 224
3 用水路への積極的なかかわりと用水路の維持 ・・・・・ 238
4 用水守制度・環境教育の可能性 ・・・・・ 244
5 用水路整備を巡る論点 ・・・・・ 254
Ⅵ これからの「まち」と「水・緑」のゆくえ
1 これまでの議論と本章の論点 ・・・・・ 264
2 まちの「器」を変えることから「器の中身」の再編へ ・・・・・ 266
3 市民活動の「すれ違い」を超えて - アクターネットワークの再編に向けて ・・・・・ 270
4 「協働」時代の計画づくりと市民 - ガバナンスと「市民」の変容 ・・・・・ 273
5 合意形成の困難さと「専門性」 ・・・・・ 278
6 むすびにかえて - 再帰的であることの意味 ・・・・・ 281
あとがき - 本著の作成プロセスから見えてきた課題 ・・・・・ 287
参考文献 ・・・・・ 290