石神隆(著)
ジョン・キャボットをはじめ、多くの船乗りが新大陸をめざして旅立ったイギリスの港町ブリストル──その栄光と衰退、そして再生の物語を、潮汐差を克服する独特の港湾「フローティング・ハーバー」を軸に描く。船舶の大型化・コンテナ化によって役割を終えた港が、都市型産業の拠点、市民の憩いの場として再生するまでの過程に、イギリスの水都における挑戦と応戦のダイナミズムを読み取る。
目次
序章 ブリストル点描 ・・・・・ 11
1 ハーバーサイドとブリストリアン
2 スティーブンソンの「宝島」
3 ジョン・キャボットのマシュー号
4 ブリストル・クリーム
5 イサムバード・ブルネル
第Ⅰ章 港町ブリストルの都市形成 ・・・・・ 29
1 初期ブリストルの都市形成
2 都市ブリストルの発展
3 三角貿易と都市間競争
4 一九・二〇世紀にかけての港の変化
第Ⅱ章 フローティング・ハーバーの創造と展開 ・・・・・ 83
1 その歴史と構造の概要
2 潮汐差を克服するための提案
3 設計から建設までの経緯と費用
4 一五〇年を生き続けた機能と建設後の課題
5 不利を有利に転じたその役割と港湾経営
6 役割の終焉と新港建設、そして再生への道
7 再生の進展と都市アメニティの向上
第Ⅲ章 イギリスにおける水と都市の関係史 ・・・・・ 129
1 水都の成立と発展 古代から大航海時代まで
2 急発展する新水都 産業革命から一九世紀まで
3 置き去られた水都の機能 二〇世紀初頭から一九七〇年代まで
4 水都に戻ってきた新たな光彩 一九八〇年代から現在まで
終章 イギリスとブリストル 水都の特徴 ・・・・・ 175
1 挑戦と応戦のダイナミズム
2 再生への漸進的プロセス
3 水辺再生への市民参加
4 シティ・プライドと水都
5 水都の経営感覚と経営戦略
あとがき
参考文献
初出一覧
法政大学出版局
四六版/206頁
ISBN 978-4-588-78006-6
2014年10月8日刊行