【開催報告】2019年3月16日「伊東建築塾/子ども建築塾」公開発表会(江戸東京研究センター共催)開催報告

【開催報告】2019年3月16日「伊東建築塾/子ども建築塾」公開発表会(江戸東京研究センター共催)開催報告

2019年3月16日(土),法政大学外濠校舎S505教室にて,「伊東建築塾/子ども建築塾」の発表会が江戸東京研究センターとの共催として開催されました。

「子ども建築塾」は建築家・伊藤豊雄が塾長を務める伊東建築塾が,主に小学校高学年を対象に開設しているものです。2018年度後期は「みんなの川のまちをつくろう!」のテーマのもと,恵比寿のまちなかを流れる「渋谷川」の一角を舞台とし,川と建物のつながりや,まちを訪れる多様な人々を意識しながら「楽しいまち」を設計しました。

今回の発表会では一年間の集大成として,子どもたちが模型やプレゼンボードを使って自分たちが作ったまちの姿を発表し,伊東建築塾の講師の方々及び江戸東京研究センターの陣内秀信特任教授が講評を行いました。たくさんの斬新で楽しいアイデアが,カラフルな立体模型やプレゼンボードで紹介され,参加者からは感嘆の声が上がりました。

陣内秀信特任教授からは,海外の都市における水辺と人とのつながりや,江戸時代の渋谷川の景観などにも言及した講評がなされました。

2018報告書_CatchUp

2018年度報告書を刊行いたしました

発行日:2019年2月25日
発行:エコ地域デザイン研究センター

目次は以下の通りとなっております。

・はじめに 
・目次

1 活動報告 
   小菅村源流再生活動2018/神谷博
   水都府中研究2018/神谷博
   野川のグリーンインフラストラクチャ―研究2018/神谷博
   善福寺池サウンドスケープ・プロジェクト:2018年の活動/鳥越けい子
   外濠暑熱環境実測プロジェクト2018年度実測結果/川久保俊
   外濠市民塾活動報告/福井恒明
   九段・神保町地区の地域史資料アーカイブ化とその表現に関する調査・研究/福井恒明
                  
2 関連研究 
   流域環境体を形成する都市河川-善福寺川を取り巻く都市組織再構築への考察-/杉本康一郎
   浮世絵・名所図会にみる江戸の景観認識/福井恒明
   狭山丘陵をめぐる市民活動と自治体政策の相互作用に関する歴史的考察-協働ガバナンス構造の形成と里山保全の展開-/清水淳
   移牧と農耕がつくるプーリア州のテリトーリオ/稲益祐太
   礫床河川における交互砂州の自然浄化機能/道奥康治

3 エコ研の今後の活動に向けて
   2017年度報告会 開催報告(2018年2月28日開催)
   テリトーリオの概念について/陣内秀信-講演記録-
   エコ研取り組みの切り口

4 研究業績 
   2018年度刊行書籍・報告書・論文

5 活動報告 
   2018年度活動リスト
   メンバー

【お知らせ】エクハルト・ハーン先生を囲んで「ベルリン近郊のエコシティと東京のグリーンインフラ」を開催します(2019年4月3日(水))

【お知らせ】エクハルト・ハーン先生を囲んで「ベルリン近郊のエコシティと東京のグリーンインフラ」を開催します(2019年4月3日(水))

エクハルト・ハーン先生は、法政大学エコ地域デザイン研究センターの客員研究員として長年研究交流を深められてきました。ハーン先生との水都交流セミナーは、2005年以来4回実施してきましたが、前回は2015年に「グリーンインフラの展開と都市づくり」というタイトルで行いました。

 その後の日本におけるグリーンインフラも進展しましたが、今回はハーン先生から、“International Campus-Eco-City Wünsdorf”というタイトルの報告があります。ベルリン近郊のヴュンスドルフの軍事施設跡地におけるSDGsを踏まえたエコ再生に取り組んでいる事例です。

 法政大学では近年、江戸東京の解析に取り組んでおり、昨年「江戸のグリーンインフラ」というタイトルで田中優子総長も講演を行っています(エコ地域デザイン研究センター主催にて 2018年7月11日開催済み)。今回は、ベルリン近郊のエコシティというキーワードと絡ませて、ドイツと日本、ベルリンと東京におけるエコロジカルな都市づくりの国際的動向を探りたいと思います。

■開催日時 2019年4月3日(水)18:00~20:00
■会場 法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー  25階  B会議室 
    法政大学市ヶ谷キャンパス・交通案内はこちら  
    JR総武線・地下鉄各線  市ヶ谷駅又は飯田橋駅 より徒歩10分                  
■主催 法政大学江戸東京研究センター,法政大学エコ地域デザイン研究センター
■参加費 無料
■事前申込制 申込はこちらから https://www.event-u.jp/fm/10918 

QRコードからも申込みいただけます

※先着順:定員に達した場合に予定より早く申込みを締め切ることがあります。どうぞお早めにお申込みください。
【チラシ】(PDF)こちらをクリックするとダウンロードいただけます。
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【プログラム】
18:00 挨拶 福井恒明(法政大学教授)
18:10 講演“International Campus-Eco-City Wünsdorf”
    エクハルト・ハーン(ドルトムント大学名誉教授)*英語逐次通訳
19:00 日本のグリーンインフラ概要
    福岡孝則(東京農業大学准教授)      
19:15 意見交換:
    福岡孝則、福井恒明、神谷博(法政大学兼任講師)ほか
20:00 閉会

<プロフィール>
エクハルト・ハーン/Ekhart Hahn  
ドルトムント大学名誉教授、都市計画家。
1942年ドイツ生まれ。1969年ベルリン工科大学博士課程卒業、1983年~ベルリン再開発・環境調和型都市研究所所長、1990年~ECOCITY研究所所長。1998年~ドルトムント大学都市生態学教授、2003年~デンマーク アルボルク大学客員教授。EU環境部会アドバイザーなど国際的環境プロジェクトの要職を歴任、グローバルエコビレッジネットワーク(GEN)の活動ほか、都市生態学の研究者として環境調和型の都市再生などのプロジェクトに多く携わってきた。
<プロフィール>
福岡孝則
東京農業大学准教授 ランドスケープアーキテクト
ペンシルバニア大学芸術系大学院ランドスケープ専攻修了。
米国・ドイツのコンサルタント会社に所属して北米、中東、アジア、オーストラリアなどのランドスケープ及び都市デザインに携わった。ドイツではアトリエ・ドライザイテル事務所にて水のデザインに関わり、エクハルト・ハーン氏とも知己である。
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【お問合せ先】
 江戸東京研究センター・法政大学エコ地域デザイン研究センター事務室
 E-mail:ecohistory-jimu@ml.hosei.ac.jp
 TEL:03-5228-1267(担当:宮崎)      

【開催報告】2019年3月9日「中高大院のオール法政で考える江戸東京ー江戸東京チャレンジ2018」発表会

【開催報告】2019年3月9日「中高大院のオール法政で考える江戸東京ー江戸東京チャレンジ2018」発表会

更新日:2019年05月29日

 江戸東京研究センターのインナー・ブランディング活動のひとつとして実施された高大連携教育プログラム「中高大院のオール法政で考える江戸東京~江戸東京チャレンジ」の発表会が2019年3月9日法政大学市ヶ谷キャンパスG503教室において開催された。

 今回の発表会は、デザイン工学専攻大学院から5チーム、文学部地理学科から2チーム、同じく文学部日本文学科から3チーム、法政国際高校から3チームが参加、大学院・大学学部・高校と連携する形、そして文理融合の形の研究発表会となった。
 大学院チームは、木場の歴史、日本橋の原風景、江戸東京の河川、水辺の町並み、武家屋敷庭園の池泉など、それぞれ具体的な場所を中心に深掘りした研究結果を報告、その空間的特徴の解明、分析方法や論の進め方、さらに新しい空間の提案に、高校や大学学部からの参加者は大いに眼を開かされ、本格的な学術研究への道に興味をかき立てられた。
 一方、大学学部チームは、都区部における各種船舶の使用分布状況を歴史的に捉えた水の都市東京の変遷の姿、そして、文化的景観を残す葛飾区柴又における、地元当事者の様々な立場の違いからみた課題などを示してくれた。さらにまた、独特な切り口からの江戸東京をとらえた研究として、落語の舞台となった場所と時代背景、江戸東京における各種怪談の出現場所、鉄道唱歌からみた東京の景色などの成果が次々と報告され、その意表を突いたともいえるユニークな視点に皆が驚かされた。これら学部学生からの自由な発想による報告は、江戸東京研究の多様性、深さ、おもしろさを参加者があらためて知った発表であった。発表方法も工夫がされ、映像を駆使しての説得力あるものが多く見られた。
 そして、高校チームは、さらに独特な視点から、それぞれ本質的ともいえるテーマの研究発表を、見事な形で成し遂げてくれた。歌舞伎、浄瑠璃、能・狂言、落語など日本の古典芸能からみえてくる日本文化の特質や日本人の精神構造というテーマの、労作ともいえる発表には、参加者一同、高校生の研究レベルの高さに舌を巻いたといってよい。障がい者スポーツ/パラリンピックをテーマにした研究では、スポーツそのものと同時に、バリアフリーやユニバーサルデザインなど東京の抱える都市基盤の問題や、受け容れる人々の心の問題にまで言及していった。パラリンピック開催が、東京そして日本の人々の心を大きく変えていく機会になることが予想される中、まさに現実的かつ具体的な東京研究として実に時宜を得た発表であった。さらに、伝統と私たち、と題する研究では、日本の伝統産業の現場を具体的にヒアリングしての分析で、今や風前の灯火となりつつある職人芸に頼る伝統工芸などを取り上げ、その後継や経営上の課題などをグローバリゼーションの中でどう考えていくかという基本的な問題の投げ掛けがされた。これはまさに江戸東京研究センターの底流を貫く共通の重要なテーマの一つであり、次代を担う代表である高校生が、このような問題意識を持っていたことを知り、嬉しくまた頼もしく思った人は少なくなかった。
 今回の「江戸東京チャレンジ」は、秋口に始まった実施計画の公表・募集・オリエンテーションから今回の最終報告会までの期間が短く、さらに初回ということもあり、研究内容や発表に若干不安な面もあった。しかし、実際には成功ともいえる今回の発表会にみられた通り杞憂であった。午前午後にわたる長丁場の会にもかかわらず、参加者は内容豊かな研究報告を楽しみ、また大いに質問や議論をし合い、高校、大学学部、大学院を網羅した、まさに法政全体の学生パワーの豊かさを示すものとなった。見方を変えれば、この江戸東京研究という法政大学固有の包括的テーマ自体が、高大院の連携、分離融合による学術実践のプラットホームとしてとても有効に機能することが一部実証されたともいえよう。
 みるからに溌溂とし楽しそうに発表する学生たちの姿、テーマへの深い関心と情熱の伝わってくる発表の姿、そして、最後まで眼を輝かせそれぞれの内容に耳を傾けていた参加学生の姿は、高大院を通じた総合的な学び舎としての法政の進取の気象溢れる強い一体感を示すのに十分であった。(石神 隆)
【学生発表テーマ】
「日本の古典芸能」国際高等学校2年生3名
「障がい者スポーツ/パラリンピックに関して」国際高等学校2年生4名
「伝統と私たち」国際高等学校3年生
「旧東京市における舟運利用の実態」文学部地理学科学生
「映画公開によるロケ地への影響~映画『男はつらいよ』と葛飾柴又」文学部地理学科学生3名
「落語の舞台を巡る」文学部日本文学科学生3名
「近世随筆集の怪異譚の分布と傾向」文学部日本文学科学生4名
「《鉄道唱歌》に見る近代東京の”車窓”世界-旅で最初の見所はなぜ「泉岳寺」?」文学部日本文学科学生
「深川木場 失われた風景を読み解く」大学院デザイン工学研究科建築学専攻生5名
「江戸東京における河川スケールの類型化とその在り方の比較研究」大学院デザイン工学研究科建築学専攻生2名
「江戸東京水辺空間の町並み研究」大学院デザイン工学研究科建築学専攻生4名
「日本橋魚河岸の近代発掘と提案」大学院デザイン工学研究科建築学専攻生5名
「目黒 千代が池」大学院デザイン工学研究科建築学専攻生5名

【開催報告】「佐原『江戸優り』フォーラム」2019年3月9日

【開催報告】「佐原『江戸優り』フォーラム」2019年3月9日

2019年3月9日(土)、北総四都市江戸紀行活用協議会との共催により「佐原『江戸優り』フォーラム」が千葉県香取市佐原の与倉屋大土蔵にて開催されました。
参加者は約200名にのぼり、法政大学総長、江戸東京研究センター副センター長をはじめ、地元の郷土史研究家や大学の研究者などが登壇し、江戸と佐原のつながり、佐原の住民自治や佐原の未来などについて講演やパネルディスカッションを行いました。

エコ地域デザイン研究センター長 福井恒明

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 「江戸東京研究センター紹介」
福井恒明/江戸東京研究センター副センター長,エコ地域デザイン研究センター長

江戸東京研究センターの概要や研究活動内容について紹介。
2 「『江戸はネットワーク』再論」
田中優子/法政大学総長

江戸時代の水運、河岸の成り立ち、さらに水路流通の拠点であった佐原の特性にスポットを当て、
流通革命がもたらす「人」や「モノ」のネットワークが文化や技術の革新を生んでいた江戸時代の姿を、様々な図像資料を基に実証的に考察。
3 リレー講義「近世在方町佐原と伊能忠敬」
酒井右二/伊能忠敬翁顕彰会

近世の佐原の街の様子や、近在だけでなく近江など遠くからの入込商人も柔軟に受け入れていた佐原の住民組織体の形成、さらにその住民自治の礎をつくった伊能忠敬について、当時の地図や資料を具体的に提示しながら考察。
4 リレー講義「佐原の観光資源と住民自治」
小笠原永隆/帝京大学准教授

佐原の観光資源と魅力は、重層的な歴史文化の蓄積のみならず、近世から続く住民自治の特性が現在も受け継がれているためであるという考察が提示。
5 パネルディスカッション「佐原の現在と未来」
コーディネーター:小島聡(法政大学人間環境学部教授)
パネリスト:福井恒明(前出)酒井右二(前出)
コメンテーター:田中優子(前出)

基調講演やリレー講義で取り上げられた近世から現代にかけての佐原の姿をふまえた上で、これからの佐原の在り方について活発な意見交換。
「佐原と水の関係を水都という視点で今後強調していってはどうか」「佐原の魅力は来るたびに少しずつ変わり続けていることである」「佐原らしさを失わずに変わり続けるために守るべきものをどう定義していくべきか、祭りに象徴される強固な住民自治の精神がその役割を担っていくのではないか」「今後の日本が直面する地方自治の危機を乗り越えるヒントが佐原の自治の形にあるのではないか」「『変化しながら持続する自治力』を持つ地域としてこれからの日本のモデルになってほしい」