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第5回 日野プロジェクト勉強会
テーマ:「日野のまちづくり-1」

日時:2006年11月28日14:00〜17:30
場所:法政大学小金井キャンパス西館6階都市デザイン工学科演習室6022

 

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1.「都市計画マスタープランと景観まちづくりの取り組み」
報告者:岡田正和(日野市まちづくり部都市計画課)
    中平健二郎(日野市まちづくり部都市計画課)

■まちづくりマスタープラン
  2020年を目標に都市計画マスタープランは策定された。策定には平成11年〜15年の4年間かかった。策定には市民まちづくり会議(まち会)と地域まちづくり広場(まち広)の2つの市民参加組織を平行して進めた。まち会は公募市民14名と学識2名、職員6名で構成され、64回の会議を開催した。マスタープランづくりの中心的組織である。まち広は8つの地域別の構想を考える組織で公募市民86人、サポート職員9名とまち会メンバーで構成され、会議は13回開催された。策定の流れとしては、はじめにまち歩きや宝物探しなどを行いまちの特徴や課題を把握し、次にどんなまちにするのか考え、そして実現化方策を考える。企業との意見交換やフォーラムの開催やパブリックコメントなども実施し平成15年3月に市長に提出された。
  まちづくりマスタープランの構成は地域別と全体構想からなり、全体構想は基本構想と基本計画からなる。基本計画は時代や地域の状況により柔軟に対応する。4つのまちづくりの基本方針は「記憶と文化を伝えるまち」「暮らしの舞台を支えるまち」「仕事を育むまち」そして「まちづくりを支える仕組み」となっている。多摩丘陵や崖線の緑、浅川・多摩川や用水、農地、歴史・文化資源を保全し継承する。歩いて暮らせるまちをめざし、日野・豊田・高幡不動駅を交流拠点、その他の駅を生活拠点として整備する。交流拠点、生活拠点をつなぐ骨格的な幹線道路を整備していく。
  まちづくりとしてはみどりの基本計画により守るべき自然を明確にし、まちづくりマスタープランで土地利用と事業を細かく描き、まちづくり条例によりまちづくりマスタープランを推進する仕組みをつくるという流れである。
■ 景観まちづくりの取り組み
  平成17年10月に第1回の会議を開催し、これまで11回開催している。現在市民案のパブコメ実施中である。18年度中に景観計画を策定し、19年度中には景観条例を策定したい。
  景観条例策定にするには東京都から景観行政団体の認定が必要である。景観計画は土地利用構想がベースとなる。8つの地域を4つのグループに分け検討している。体制は53名の公募市民と学識3名、職員による景観まちづくりワークショップを開催し、提言書を作成し、日野市景観まちづくり検討委員会に提出する。その後パブコメなどを実施市民意見を反映し市長に提出する。それぞれの地区ごとに現状と課題を踏まえ、方針やルールを決める。提言は市民案そのものを採用し、行政はほとんど手を加えていない。まだ内容は薄いが今後検討委員会で具体的な内容を検討していく。まちづくり条例でできないものを景観条例で規定、誘導していく。市の体制や東京都との調整などもある。

2.「まちづくり条例」
報告者:星野敦樹(日野市まちづくり部まちづくり課) 
  日野市のまちづくり条例は平成18年10月に施行されたばかり。平成14年に公募市民12人、学識経験者4人、市職員12名によりまちづくり会議を発足し、条例の検討を行った。その他にまちづくり講座やまちづくり寺子屋などを開催し広く市民の意見を募った。
  条例は市民と行政により協働のまちづくりを行い、市民まちづくり協議会(公募市民3名、学識4名)を中心とした地区まちづくり計画、テーマ型まちづくり計画、農あるまちづくり計画、市が行う重点地区まちづくり計画など市民参加のまちづくりの手続きを定めている。地区まちづくり制度は、3000m2以上のまとまった土地を対象に、地区住民などが協議会を設立し、地区住民の意見を反映させながら計画を策定し、市長に提案する。市長は説明会を開催したり、市民意見を聞いたり、第3者機関であるまちづくり会議の意見を聞いたうえで決定する。農あるまちづくり計画は生産緑地の保全を目的とし、土地所有者などが協議会を設立し、農地を保全しやすくするための土地の集約など計画し提案できる。しかし、この計画で農地が残るということではない。都市計画に対し、法で規定した市民参加に加え、案の段階からの参加などを規定している。開発事業に対しては周辺住民を含めた協議会の設置や早い段階から周辺住民への周知・説明や協議を義務付けている。意見書が出された場合は、調整会が開催され市民まちづくり会議が調整を行う。調整案に従わない場合は罰則もある。大規模土地利用の転換については、5000m2以上の土地取引を行う場合、届出を義務付け、市は助言や情報提供を行う。100戸以上のマンションの建設など大規模な開発事業については、土地利用構想の届出を義務付けている。その他法律以上の規制が出来ないものは指導基準として指導している。
  水関係については、雨水流出抑制施設の設置や第27条で緑と清流のまちづくりに寄与する環境整備として湧水や水路の保全や整備、地下水の保全のための措置を講ずるよう指導している。工場跡地については高さ制限25mとしている。

3.「日野宿再生計画と観光について」
報告者:仁賀田宏(日野市企画部企画調整課)

  昨年度策定をした日野宿通り周辺の再生整備計画について簡単にご紹介する。広く市民の意見をまず吸い上げようという部分があり、企画調整課が担当した。また、国道の20号バイパスの開通により現在の国道20号の役割というのは変わってくるため、スタートした。周辺地域には新撰組の関連の資料館、日野宿の本陣、昔からある蔵や古い建物が現存している。しかし相続の関係等もあり、失われ始めている。
  市民の方36名(は商店街、自治会、PTA、老人クラブ、新撰組関係のお寺、資料館の代表の方等)により会議やまち歩き等も行った中で計画を作っていった。実践女子大学学生の意見も参考にした。
  整備のテーマは(1)甲州街道を幕末、明治、大正期を意識した街並みと道に再生。(2)水路を行かしたまちづくり。(3)日野宿本陣、日野図書館、仮称日野宿交流館を結ぶ観光ルートづくり。市の提案は新撰組の関係で幕末を意識した街並みづくりということで提案したが年配者を含め意見をいただいていく中で、自分の子供の頃のイメージというのは幕末、明治維新の頃ではなくて、もう少し後。そういったイメージの中でも、いいものというのはまだまだ日野の中に残っている。今あっていいものをしっかり残していくという方向性にした方がよいだろうということで少し時代が広くとられた。水路をいかしたまちづくりは市民の本当に水に対する思いというものがあり、あの場所で遊んだ、洗い物をした、泳いだ、昔はとても良い水路があったのだが、今そういう水路というものがほとんど残っていない、道に変わってしまった、そういうのが大変残念だという意見もいただいて、これは水路をいかしたまちづくりを行っていかなくてはならないということでテーマにした。日野宿本陣は都内で残る唯一の本陣。日野図書館というは市の予算を多少つぎ込み、東京都の補助もあり昔風の建物に変えた。仮称日野宿交流館は、本陣の向かいの、旧八王子信用金庫を市が買い上げ、新たな拠点として整備。その他井上源三郎の資料館、佐藤彦五郎の資料館、八坂神社や大昌寺などをうまく線に結びルートを作っていけば観光事業にも役立てる。日野の道の特徴で路地、間口が狭く奥行きが長いというような宿場の形が残っている。その中で細い路地を歩くととても楽しい。そういったものも生かしていけるのでないかということで、3つのテーマをあげた。
  地元の古いものをしっかり生かしていくということ。蔵の再利用や日野駅のシンボルの木造駅舎というものをしっかり残していきたい。日野宿用水の上堰の暗渠を開渠化し水路をより水に親しめる水路に整備し、水路をシンボルとしたまちづくりとし、今ある緑というものを大切に保存する。生け垣等を積極的に設置して緑豊かなまちを作っていく。水路に無数に橋も修景することによって新たな見所を作っていく。 

   

 

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