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【スカンジナビア政府観光局】
ノルウェーセミナー『持続可能な社会に向けた挑戦』
■ノルウェー、『持続可能な社会』に向けた挑戦■

日時: 2005年 5月20日(金)14:00〜17:00
会場: ホテルニューオータニ エドルーム
主催: スカンジナビア政府観光局 業務視察部
後援: ノルウェー王国大使館、スカンジナビア航空
協力: 法政大学大学院エコ地域デザイン研究所

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「未来を見据えた持続可能な経済」 貿易産業大臣 ブルゲ・ブレンデ (元環境大臣、元国連「持続可能な開発委員会」委員長)
日本とノルウェーの友好の歴史は長い。ノルウェーは1905年に独立を果たしているが、その際の独立の承認国のひとつが日本である。この事実は100年もの前の事実であるが、現在まで友好が続いている。
日本は貿易面での関係も強い。日本はノルウェーにとってアジア最大の輸出国である。ノルウェーでは経済成長と持続性は両立しえるものと考えている。今回の来日で、通産大臣、環境大臣と面会した。科学技術、研究、貿易など共通の話題は多い。この100年、ノルウェーは成長基調にあり、GDPも増加を続けている。ノルウェーは日本と同じ規模の面積を持っている。しかし最大の相違は総人口である。ノルウェーの人口は、460万人で日本の1/30である。人口は少ないものの、GDPは高い水準を維持している。こうした経済成長の背景には、豊富な天然資源、勤勉な国民性、社会・政治的安定性がある。資源も乱獲・乱用をせずに、有効に活用し、産業と結び付けている。このことが環境を守ることにもつながっており、これが経済成長と環境保全が可能であると考える背景である。生産と消費の安定は、経済成長のために重要だが、その前提には持続性がなければならない。
Natural Geographicという雑誌で、ノルウェーのフィヨルドが世界一の観光地として、150の自然分野から選出された。クリーンな環境、フィヨルドでのアクティビティなどの活動も持続性に寄与するものとして評価された。環境規制は単に将来世代のためだけではなく、その規制が何らかのインセンティブを持つものでなければならない。
重要なことは、規制で企業を縛ることではなく、企業に競い合う、競争的な環境を提供することにある。有害な製品などは生み出されるわけもなく、規制はイノベーションを促進する体系でなければならない。その例がハイブリット・カーではないだろうか。自動車メーカーはカリフォルニア州で厳しい排出ガスの規制が導入された際に、新しい規制をクリアーする車両の開発を実現した。このことはCO2の低下を実現したという事実だけではなく、環境規制が新たなビジネスになることを示唆している。このことは、そのメーカーのマーケットシェアの拡大にもつながるだろう。
ノルウェーの皇太子は、愛知で開かれている万博を視察し、日本の優れた技術力、特に自動車メーカーの技術に関心を持っておられた。
 スカンウエハー、再生エネルギー用太陽パネルの開発を行っている。日本も開発を行っているがecologyとeconomyのバランスを考える上で、こうした開発は重要だ。愛知の万博のテーマは自然の英知であるが、環境、持続可能な発展、これらへの関心が強いことを証明している。
将来には、今よりも慎重に進まなければならない。その際に自然はガイド役である。日本とノルウェー、両国共に真摯な取り組みが求められている。両国には文化や考え方の相違が存在するものの、持続性に関する価値観は共有できるものであろう。その際には、clearly、purely、simplyの3項目が重要である。
持続性の達成のためには、共通の価値観を持つことが重要だ。ノルウェーには自然のすばらしさ、生活様式がある。今後も、ノルウェーに関心を持ってもらいたい。

「オスロ市の持続可能な社会づくりに向けた取り組み」 オスロ市環境・交通局 環境政策コーディネーター グットーム・グルント
オスロは「ヨーロッパ持続可能な都市賞」を受賞している。オスロはヨーロッパ・サスティナブル・シティズン・タウン・キャンペーンの一員であり、ヨーロッパの各都市、2000都市を結ぶキャンペーンの一員である。キャンペーンはお互いに競争し、エントリーした都市のなかで、どこがもっとも持続性を保持しているのかが評価される。これには65の都市がエントリーし、見事に1位になった。今後も努力を続けて生きたい。

(1)Green Municipality
持続可能な成長のために、オスロではエコ効率を重視している。オスロ市に設けられた行政委員会ではあらゆる行政活動に、エコ効率、それをマネジメントする制度を設け、環境認証の獲得を奨励している。オスロ市は15地区に分割されているが、幼稚園(350施設のうち25施設)、老人介護施設(45施設のうち3施設)、学校(150施設のうち2施設)、政府部局(60施設のうち7施設)で認証の獲得をしており、今夏には市庁舎が取得の予定である。
市庁舎の取得は、40000人の市職員を巻き込む活動となる。市庁舎には港湾、廃棄物管理、運輸に従事する部局も含まれる。こうした大規模部局ではISO14001の取得を励行している。これとは逆に、規模の小さい部局ではオスロ市独自の規格であるEco-Lighthouseの取得を励行している。Eco-Lighthouseは、幼稚園、学校、小売店向けの規格である。従業員や構成員を含め、認証を行いシステムとなっている。現在ではEco-Lighthouseはノルウェー環境省の補助を受け、運営している。最終的には市独自の運営を目標にしている。
このEUもこのEco-Lighthouseに関心を持っており、EU各国への拡大の可能性もある。この活動を通じて、エコ効率は上昇し、コストの削減が可能になる。また構成員の環境意識の啓蒙を図ることも可能である。そのためにもシステムのプロセスはsimpleでなければならないし、logicalであることも求められる。
プロセスは、現状評価、改善プランの立案、実行、そして審査である。このプロセスを経て、承認を受けることができる。オスロ市では審査委員の育成も行っている。
各家庭向けにはGreen Family Action Sheetへの登録を進めている。これは各家庭のライフ・スタイルが環境へどういった影響を与えているのかを自己診断するものである。ごみの削減・分別、自動車の利用を控え自転車を利用、カーシェアリング、グリーン購入などの評価項目がある。これはGreen Livingという組織が国の補助を受け、チェック・リストの作成を行っている。

(2)Oslo Toll Ring
これは通行料金システムだが、ロンドンで導入されており、ストックホルムでも計画が進んでいる。オスロのシステムが注目を集める背景には、システムへの関心ではなく、政治的な動向になるのだろう。現在ではこのシステムへの賛同が多く、政治家が反対をする理由がなくなってきている。オスロも20年前には混雑がひどく、市内中心部は特にその傾向が強かった。国や道路局による支援策も効果的ではなかった。混雑が目立った路線は市内中心部へ向かう幹線道路であり、混雑が目立って地点は市庁舎前である。
現在では、トンネル道路の建設が進み、地下への迂回路も完成した。こうした道路整備の財源は、Toll Ringによるものである。地下道路は、(地上の)市中の道路の混雑の改善に寄与した。市内中心部はオスロ市内の人口の50%を占めており、混雑の改善の実感は強い。料金は約3ドルで、事前に支払いを済ませると、市内に19ヵ所設けられた料金所はノンストップで通過することができる。
道路を地下化した効果は、3点指摘することができる。第1に市中の混雑を解消し、走行に余裕が生まれたこと、第2に事故が減ったこと、第3に大気汚染や騒音が改善されたことである。
Toll Ringの収入の20%は、公共交通へ充てている。オスロでは地下鉄の整備を進め、ネットワークが良くなり、相乗効果的に公共交通の利用者が増えた。
システム導入直前の1989年には、3人に2人がこの制度に反対であった。しかしながら年を経ることに、賛成が増えたというよりも、反対が減ったという表現が適当である。現在では、賛成者が多くなってきており、ようやく五分五分である。政治家も制度の5年間の適用延長を決定した。この目的は公共交通をよりよくするためである。2001年には値上げも行っている。Toll Ringの収入から地下鉄の整備を行ってきたが、今後はトラムの新駅開設や運行頻度の改善(5分に1本など)を図りたい。

(3)Fjord City
フィヨルドとはオスロでも見られるが、氷河の跡である。オスロの海沿いの多くの地域は港湾施設が集中しており、市民が近づけない地域であった。この地域を市民に戻す試みがFjord Cityである。オスロ市庁舎から向かって右側にアーケシェフ城がみえる。この城はオスロの象徴であり、国の公式行事などでも利用されている。市庁舎は1950年に建設されており、当時の建築の主流であった機能主義様式によるものである。アーケシェフ城の海を挟んで向かいの地区の周辺が造船で栄えた地域、アーケルブリッケ地区である。現在、この造船場跡地は、住宅、レストラン、文化施設、オフィスと生まれ変わっている。夏には観光客が多く、今後もエリアの拡張を予定している。コンテナやトラックに変わって、レジャー施設、アートギャラリーが建設され、この地区の開発は始まったばかりである。アクセスの改善、バリアの撤去など、細かい整備も進めていかなければならない。将来的には、港湾機能は、アーケシェフ城の南東域に、その機能を限定する予定である。空きスペースの展開は今後の検討課題でもある。開発の要件は、環境にやさしいこと、市民への開放である。港湾地域の再開発は、環境にやさしくということからEco Performance Programと呼んでいる。このプログラムでは、都市計画や建築業者に対し、契約時に地区の環境配慮を含めて契約するものである。建築で例を述べれば、高度の断熱材の使用、建材は再生可能な材料を用いることである。
Fjord Cityの立案は、ワークショップを組織し、検討している。この組織には建築家や、計画の専門家などから構成される。ワークショップでは、コンペでアイディアを募り、計画へと議論を進めている。同時に計画の展示会、ヒアリングを重ね、計画を収斂させている。その上で、議会の採択へと進む。具体的な取り組みは、第1にOslo Networkで、3〜4の港湾地区をトラムや船で結ぶことができないか、検討している。第2に緑地帯の整備で、オスロを象徴するBlue(海)とGreen(森)の対比をより鮮やかにする。第3に建築基準の普及である。

[アーケルブリッケ地区から見たオスロ市庁舎]
[市庁舎前広場]
[アーケルブリッケ地区遠景]
[アーケシェフ城下から見たアーケルブリッケ地区]
[アーケルブリッケ地区中心地]
[アーケルブリッケ地区の商業施設]
[整備が進むアーケルブリッケ地区]
 

 

   

 

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