新着情報
当研究所のコンセプト
プロジェクト
出版物のご案内
参加メンバー
インフォメーション
リンク
サイトマップ

再生プロジェクト 第3回研究会

日時:2004年12月16日(水) 18:00〜20:30
場所:法政大学 市ヶ谷校舎80年館7階大会議室

>top
 >home=news
 
   >rm041216

『大都市及び地方都市の再生に向けた政策動向』 荒川俊介(アルテップ)

全般的に、環境・文化・エコロジーの観点からの多面的な研究会の中で、政策についてと言うとおこがましいが、現在、国、それに関係する機関、地方公共団体等、様々な新しい取り組みが始まっているなかで、現実社会の具体的な例を紹介しながら考察していく。
「都市の変化」として、大都市圏の人口減少、また、交通の不便さや生活環境の未整備によって、郊外で人口の空洞化も一部では起こっている。また、就労者の減少(横ばい〜減少)、世帯・居住形態の変化においては、親族世帯がなくなってきている。一方、地方の中小都市では、大都市圏の変化動向を先取りした形で現れてきている。人口でみれば、人口減少を超えて過疎化しており、当然ながら中心市街地は空洞化している。逆に、今まで安定していた郊外エリアにおいても過疎化が起きていて、一部高齢者は中心市街地への回帰減少が起こっている。高齢率については、ほとんどの都市で2割以上であるが、都市によってかなりのばらつきがあるのは問題ではないか。また、郊外大型店舗の広がりによって、地方都市の経済構造に大きな影響を与えている。
次に、生活者の居住意識として、持家志向は依然として強いが、資産意識の低下によって借家志向も増えてきている。高齢者・単身・夫婦のみの世帯で都心志向が強く、子育て分譲住宅居住世帯で郊外居住を希望する傾向にある。
そういった現状の中で、都市分野での再生政策の動向としては、大都市都心が重点的で、郊外部の政策は手薄であった。最近の動向としては国から地方自治体へ、官から民への動きがでてきている。一方で、地方中心市街地の問題は、現在まで様々な対策を施しても、成果があまりみられない。今新しい動きとして、従来のようなばらまきの補助金等の再考や、都市計画は、従来、国の仕事であったが、現在の都市計画は地方公共団体の仕事になり、国は指導する形になった。また、街づくり3法見直しの動き、都市計画法、建築基準法の改正の動き、景観法の施行に伴って、今後の新しい都市計画が必要になってくる。現在あがっている都市再生プロジェクトの具体的な例には、ゴミゼロ型都市への再構築、都市環境インフラの再生、ロボット産業拠点の形成等様々な形で提案されている。
都市再生推進の仕組みとして大きな柱は、民間事業の誘導、規制の緩和、一定の経済支援、補助金等での地方公共団体からの支援で都市再生を図ろうということである。
一つの参考例として、東京圏の再編・再生のシナリオ例としてあげると、均質的に広がったものをセルに分割しようと言うことで、結果的には、小さな5つのタイプに分節して、その集合体として再編する。そのエリアが地域拠点となっていく。その仕掛けとして自然、歴史資源を中心に環境インフラを創出し、エリアのつながりを広域的なものにするために情報基盤、交通基盤の再編によって人・物の新たなモビリティを生み出す。
従来、日本のインフラは交通インフラ中心であったが、交通インフラは重要な役割を果たしてきた。21世紀型のインフラの整備として、環境インフラの整備が必要である。環境インフラは新しい物を作り出すのではなく、埋もれていた、文化、自然等のストックを生かしていくということである。
環境インフラは交通インフラ・情報インフラに続くいわば第3のインフラで、郊外の居住や、中間地域の新たな都市計画を生み出す物になるイメージである。
50〜100年先真に豊かな都市・生活を視野に入れた物の見方が欠如していて、新たなパラダイムに基づいた将来の都市のあるべき姿・ビジョンの構築が必要であって、どのようにしていくかが今後の課題である。

 

[都市環境インフラの再生]
[ ]
[ ]

 

質疑応答:

 
永瀬: コンパクト化についての問題は
荒川: 大都市部ではリアリィーがない。広がりをコンパクト化するよりは、活動をコンパクト化するのが懸命ではないかと考える。通勤、ちょっとした買い物、→身近に中心となる都市の機能をコンパクト化して配置
ヨーロッパがコンパクトシティーにこだわるのかがわかるようでわからない。
人口5〜6万都市でもともとコンパクトなのだから
日常品は都心でも郊外でも変わらない。
ヨーロッパの都心には住居整備、歴史的遺産の活用がある。
永瀬: もう一度自分たちの足下を見つめ直して評価すべきではないか?そういったことで新たなアイデンティティが発見されるのではないか
荒川: 多摩ニュータウンで住んでいる人に聞くと、たまには新宿なんかに行くのかと聞くと滅多に行かないと言われ、地域で生活し、子育てし、仕事をしていると。そういったことで変わっていくのではないか?
高橋: 年代差によって大分違いがあるのではないか?OLとか主婦とかが都心から離れられないのではないか。サラリーマン等
高村: 自分の住んでいる生活圏と学校や仕事場の生活圏以外はあまり行かない。年代や時代によって違いもあるが、行動範囲の慣れみたいなものがあるのでは?アジア圏とヨーロッパ圏のまねでコンパクトシティーをとり入れても無理ではないか?むしろ、アジア圏ではどういったよい部分を取り入れていくのか?
荒川: 日本の都市計画で、複合的な要素、コンパクトな質の高い住空間。
山崎: コンパクトシティのあり方で、現状の状況を外して都市をみた場合、スケールを大きくみた場合、大都市はまだ荒く、レベル的には低いもので、その先に、コンパクトシティが未来の形としてあるのではないか?
荒川: 1つのシェルに様々な意味が混じり合っている中で、歴史など重要な要素の濃密な関係性をどう結びつけていくかがキーポイントで、その中でのコンパクトシティーは重要になってくると思います。
高村: 今の状態からみると、臨海部にはネットワークができ上がってきているようにみえますが港湾部などの大きな問題とかありますか?
高橋: 護岸の構造体などを東京湾に開発して親水性というのは数パーセントであるものをやり直すのは無理ではないか?
荒川: 自治体や権利の問題が複雑ではなかろうか
永瀬: 都市再生の仕組みのところで、今全国レベルで「まちづくり条例」などを作成しているが、自治体がついてきていないような気がするのだが?
荒川: 仕組みの中で、提案が民間事業者の方から、プロジェクトありきであるかあるのに対して、従来は中央集権的にやってきたからではないか。日本は責任と権限が曖昧で、地方自治体は困っているのではないか。自治体が総合的に考える必要があって、強力なリーダーシップを持った方がいいのではないか?
佐々木: 最近都市整備について、郊外、臨海部に開発をしてきたが、今後5年都心部に開発がシフトしているがどう思うか?
荒川: 言葉として、コンパクトな都市ならわかるがコンパクトな市街地と表現しようとしていることがわからない。公共投資は郊外を忘れている。都市経営の中でインフラの維持をどうしていくかが問題になってくると思う。財政がない中でやっていく方法も必要ではないか。10〜50年後は悲惨な状況ではないか。
東京再生計画の中で環境インフラを創出していくとはどういうことか
既存にあるものを発掘したり、使い方をかえたり、ストックを生かす方法が基本だが、色々な切り口で、新しい都市構造を作っていくという意味で作り出していく行為が必要である。
猪野: 不動産の所有の形態がコンパクトシティーに向かっていくには修正が必要で、それを行わないといけない気がするのだがどうなのか?
荒川: 根本的な問題ではある。地下の価格も問題で公的な査定が必要になってきているのではないか。もう一つは用途指定が問題である。
   

 

 

Copyright(c) Laboratory of Regional Design with Ecology, Hosei University  All rights reserved